ブラック企業でレジリエンスが育たない理由とは

レジリエンスを鍛えるには自身の努力も必要ですが、一人では限界があります。責任感が強く、どんなに大変な仕事でも文句も言わずにこなそうとする人がいます。その姿勢は立派ですが、ひとりでできることは限られています。そこへ何かトラブルがおきると失敗を招き、ネガティブな感情が生まれそれが原因でまた失敗して…という負の連鎖を招きかねません。

失敗が次々重なると、自分でも気付かないうちに無力感に陥ってしまいます。そうなると、仕事に関係ない分野でも無力感を感じるようになり、次第に無力感が癖になってしまいます。これを『学習性無力感』というのです。

働き盛りのサラリーマンがうつ病になったり、若者が引きこもりになったりするのは、この学習性無力感が一因と考えられるのです。学習性無力感に陥るプロセスは以下のようになります。

①失敗など、不快な出来事が起こる。
②この状況を自分では変えることができないと思い込む。
③将来もこの状態が続くと思い込み、悲観的になる。
④将来も自分のいる状態をコントロールできないだろうと思い込む。
⑤無力感を学習する。

最近は従業員を過酷な労働環境で働かせるブラック企業が社会問題になっていますが、ブラック企業に勤める社員が無力感にさいなまれ労働意欲を失うのは、このような過程で起こると考えられます。

①過重労働など、不快な体験が続く。
②自分ではこの状況を変えられないと認識する。
③将来もこの労働環境が続くと考え、悲観する。
④将来も自分のいる状態をコントロールできないと認識する。
⑤無力感を学習する。

また、ブラック企業とは言わないまでも、困ったときに周囲に助けを求められない職場環境も問題があります。人間関係が悪い、人事異動が少なく風通しが悪い、社員同士がお互いを気にかけたり、手を差し伸べることをしない。

このような環境では、まじめで頑張りやの人ほどメンタルをすり減らしてしまいます。どんなに頑張っても努力しても誰にも認めてもらえなければ、無気力、無関心が横行するのは当然の結果とではないでしょうか?

また、先述した思い込みが邪魔をして、困っていても助けを求めることができない場合もあります。

何かミスをしたら、『迷惑をかけてもうしわけない』とか、『自分の力不足が原因だ』と思い込み、すべてをひとりで背負い込んでしまうことがあります。また、自分と他者を比べる癖のある人は、ダメな人間だと思われることを怖れて、失敗を隠してしまうこともあります。

人を頼ったら迷惑がられるのでは…と思うかもしれませんが、ほとんどの場合、それは杞憂です。人は、自分が頼りにされているとわかると、喜びを感じるものなのです。

レジリエンスを高めるには、周囲の人の支えも必要なのです。精神的な落ち込みからの回復が早いひとは、いざというとき支えになってくれる人が近くにいることが研究で明らかにされています。これを『社会的支援』といいます。

助け合い精神のない会社はメンタルに悪影響を及ぼすばかりでなく、成長も見込めません。